胸郭出口症候群の一般的な治療法
胸郭出口症候群の一般的な治療法を紹介します。
温熱治療・温熱療法
整形外科や整骨院で行う治療法です。
首から肩甲骨周りに磁力と熱を発するシートを敷いて、そこに1回10分から20分間横たわります。
これは頚椎ヘルニア診断や頸肩腕症候群診断が付いた場合に、この治療が行われる事が多いです。
この温熱療法の目的は、血行促進により凝り固まった筋肉をほぐすというものです。
胸郭出口症候群を根本的に治す治療ではないことを覚えておきましょう。
体操・運動療法
胸郭出口拡大体操(TOS体操)や、その他筋力トレーニング・ストレッチ・柔軟体操により、体形を改善していく治療法です。
これについては左側メニューの胸郭出口症候群の治療改善方法で説明していますので参考にしてみてください。
私は運動とストレッチ・柔軟体操、食事で治療改善させました。
治療改善には、長い期間かかる事が前提です。
後天的な胸郭出口症候群のほとんどは、「突然患った」というものではありません。
長い時間をかけて、体がこの症状を患うように変化してしまったと考えるべきであり、元の状態へ戻すのは同じく長い時間がかかることになります。
頚椎牽引法
機械により首を引っ張る治療法です。
首の筋肉を引っ張り弛緩させたりを繰り返すことにより、首周りの筋肉の緊張を解きます。首を引っ張るストレッチと考えてください。
頸椎牽引法も、根本治療ではありません。
頚椎ヘルニアと診断された場合に行われますが、胸郭出口症候群の場合も行われる事があります。
私は最初頚椎ヘルニアと誤診されていたこともあり、この治療法を50回以上行っていましたが、効果が全くありませんでした。むしろ悪化したこともあります。(体験談投稿者様も同様の方がいらっしゃいました)
悪化する場合はその治療はすぐに中断するように申し出ましょう。
神経ブロック注射(斜角筋ブロック・星状神経節ブロック・腕神経叢ブロック)
痛みやハリが強い場合は整形外科ではブロック注射をされるケースもあります。
これはいわゆる麻酔です。
痛い→筋肉が縮む→血行不良→発痛物質が停留する→より痛くなる
という痛みの悪循環を断つのが主な目的であり、根本治療ではありません。
ちなみに私は行ったことがありません。
私は楽器を弾く関係上、医師からも「神経が沢山ある部分に針を入れるのは危ないよ」と言われた為です。
斜角筋ブロック
首の筋肉の一つである斜角筋の筋肉と筋肉の間(斜角筋間溝)に注射をします。
脊髄から出て腕に向かう神経の束に局所麻酔薬を注射することで痛みを軽減させることが目的です。
これも根本治療ではありません。
星状神経節ブロック
星状神経節は首の付け根付近にあり、ここには頭・顔・首・腕・胸・心臓・気管支・肺などを支配している交感神経の集合地点です。
ここに局所麻酔薬をして神経機能を一時的に麻痺、交感神経を抑制し、痛みの伝達をブロックします。
交感神経節ブロックとも呼ばれています。
神経痛だけでなく顔面神経麻痺・突発性難聴・多汗症の治療などにも用いられます。
腕神経叢ブロック
腕神経叢とは、頚椎の第5・6・7番目の神経が束になって出てくる場所の事をいいます。
神経の束は袋に包まれた状態になっています。
ここに麻酔注射を行います。
頚椎症や頚椎椎間板ヘルニア、鞭打ち症(外傷性頚部症候群・頚椎捻挫)にも有効な治療法です。
手術
体操・運動療法や注射を行っても治療改善が無く、症状がとにかく重い場合に手術が行われますが稀です。
先天的に怒り肩や、事故による2次障害による胸郭出口症候群患者に手術をするケースが多い。
(後天的な胸郭出口症候群には手術はほとんど行いません。)
胸郭出口症候群の手術の概要
- 頸肋や第一肋骨を切り取る。あるいは前斜角筋を切り離すか切り取ることで胸郭出口を広げる。
- 神経や血管周辺の癒着を剥がす。
- 胸郭出口で神経や血管を締め付けたり折り曲げたりしている異常筋や索状物を切り離す。
- 交感神経の緊張状態が強い場合は、第一胸神経節を切り取る。
- 癒着、再発防止対策として肋骨切除端への脂肪移植、神経剥離部へのステロイド散布をする。
症状と状態によって上記いずれかの手術が行われますが、必ずしも完治する保証はありません。
第一肋骨を切り取ったとしても、第二肋骨と鎖骨で圧迫されて再発するケースもあります。
私の知人で、医師にすすめられて胸郭出口症候群の手術を行った人がいました。
しかし結局はほとんど症状の治療改善も見られず、右腕が真上に上げられなくなってしまったそうです。
「手術しなければ良かった」と言っていました。
胸郭出口症候群の手術はとてもリスクの高い治療法です。
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