KSバンド(肩甲骨支持装具)役割について
胸郭出口症候群をウェブで調査している方は、
ためしてガッテン!その肩コリ完治可能!(2011年2月23日放送)
のページを1度は見たことがあると思います。
出演していた熊本大学整形外科・井手淳二先生が、
肩こりと胸郭出口症候群の関係について説明していました。
熊本大学整形外科では胸郭出口症候群の治療のために、
肩甲骨支持装具(名称はKSバンド)をアドバンフィット社と共同開発されたことで有名です。アドバンフィット社のKSバンドのページ
この放送直後、KSバンドはものすごい勢いで売れて売れて売れ切れになってしまったそうです。
でも中にはKSバンドを装着すれば治ると思って購入された方も少なくないようですので、このバンドの役割を記載しておきます。
KSバンドの役割と効果
- 鎖骨と肩甲骨を持ち上げて胸郭出口を広げる効果。
(なで肩の人に有効な可能性) - 姿勢の指示器具。(猫背等の不良姿勢改善に有効な可能性)
- 胸郭出口症候群や頸肩腕症候群を患っている場合、肩周辺に痛み、手の痺れを感じているのであれば装着後にすぐに症状が和らぐ可能性がある。
(全ての患者に効果が現れるとは限らない) - KSバンドはあくまで、自己矯正のために使用する。
装着して症状を和らげつつ、同時にバンドが無くても良い姿勢を保てるよう肩甲骨周囲筋の筋力トレーニングを行ない、6〜8週でKSバンドを除去できるようにする目的の為のもの。 - データとしては、9割以上の患者がバンド装着+筋力トレーニングにより胸郭出口症候群の症状を改善したと、熊本大学整形外科が報告。
(どの程度まで改善したかは明らかではないです。こういうデータはほんの少し改善しても「改善」とデータに残ります。)
ここでの重要なポイントは、胸郭出口症候群は筋力トレーニングで改善する可能性が非常に高いということです。
KSバンドは、胸郭出口症候群を治す為の器具ではなく、症状を和らげる為の器具ということを理解した上で使用されると良いでしょう。
壁押し運動 | 胸郭出口症候群の治療
ためしてガッテンで紹介されていた筋力トレーニングの「壁押し運動」の内容はテレビ放送の通りに以下記載。
運動療法としては、鎖骨と肩甲骨を持ち上げる筋肉を鍛えるため、わきをしめて壁を押す
「壁押し運動」を行います。
一度に20回程度、これを4〜5回繰り返すことで、1日100回を目標とします。
(自宅で出来る肩周辺筋力トレーニングでも紹介しています。)
仮にこれで症状が改善されたとしても、1度胸郭出口症候群を患ったのであれば、体は患いやすい体形と作りということを認識しなければなりません。
よって改善した状態を保つ為には、一生永続的に筋力トレーニングを行う必要があります。
また、平成24年7月11日:良い姿勢は疲れる!でも書いたように、部分的な筋力トレーニングだけではなく最終的には全身をくまなく鍛える必要があるでしょう。(胸筋はあまり鍛えない方が胸郭出口症候群には良い)
KSバンド購入にあたっての注意点
熊本大学整形外科では、胸郭出口症候群の治療改善にしっかり取り組めると私は感じています。
といっても熊本までは行けない方がほとんどですよね^^;
KSバンドは保険適用ですが、どこの病院でも置いているとは限りません。
かなり大きな病院でないと置いていないそうです。(価格は3割負担で3000円程度)
しかし、仮にKSバンドを入手出来たとしても問題が一つあります。
KSバンドはあくまで熊本大学整形外科の胸郭出口症候群診療において有効なものであって、他の病院の胸郭出口症候群診療で本当に有効かは分からないという点です。
なぜなら、他の医療機関が、胸郭出口症候群の診断・診療・治療・リハビリ方法を熊本大学整形外科と同じように実践していることは少ないと予想されるからです。
通っている医療機関の整形外科医が、熊本大学整形外科と繋がりがあって胸郭出口症候群に精通しているのであれば良いですが、そうではない場合が考えられます。
ですので、もしKSバンドを購入する事が出来ても、しっかりとした使用方法や、そのほかの改善・リハビリ・筋力トレーニングは教えてくれない可能性もあるということを覚えておかなければならないでしょう。
KSバンドが無くても・・・
私は重傷の胸郭出口症候群を患っていましたが、KSバンド無しで改善させました。
無くても努力すれば、最終的に行き着く所は同じだと考えます。
KSバンドに1度頼ると、精神的にバンド無しじゃいられなくなる可能性もあると思います。
例えば、腰痛の人が腰のコルセットを等の補助器具をけっぱなしにしていて、それ無しでは不安で生活出来ないと思っている人が多いという傾向から考えてです。
しっかりとした胸郭出口症候群診療を受けられる環境があれば、KSバンドを利用するべきだと思います。
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