胸郭出口症候群や頸肩腕症候群に関する論文

1:TOSに対する的確・迅速な臨床推論のポイント

〜参考文献〜
・「 胸郭出口症候群に対する的確・迅速な臨床推論のポイント 」 2011年より

 

胸郭出口症候群であることが想定されたのであれば、問診を懇切丁寧に行うことが重要である。

 

胸郭出口症候群患者は原因をはっきり掴みにくい。

 

診療の時間的制約はあるものの、他の疾患以上に可能な限り傾聴の時間を割き、真摯に訴えを把握することが重要である。

 

また、胸郭出口症候群患者は訴えが多い傾向が有り、われわれ医療従事者側は、話の要点を整理しながら患者の訴えに理解を示しているという態度を示すことも重要な点である。

 

我々の臨床での経験では、検査で判明した身体的異常所見を保存療法で改善するには、個人差はあるものの、最低3ヶ月~6ヶ月を要している。

 

症状がいったん軽快しても、生活習慣を根本的に見直さないとすぐに再発することがあり、長期に渡る生活指導の重要性を痛感することが少なくない。

 

 

以下は治療法選択のポイントである。

 

生活指導

全ての患者に当てはまり、基本である。規則正しい生活リズム、運動、食事。当たり前と思われてきたことだが困難な人が増加している。
仕事や家庭環境の事情から起こる患者が実に多いことが、臨床の場で感じられる。

姿勢指導

同一姿勢を保持する時間を短縮させる。少なくとも15^20分に1回は姿勢を崩し、肩回しなどの簡易ストレッチを推奨する。
現代病とも言うべきVDT症候群(Video Display Terminal)は長時間の同一姿勢保時により、肩こり、頭痛、目まいを呈する。特に、前かがみで顎を突き出した姿勢を取らせないことが姿勢指導の基本である。

ストレッチングと関節可動域訓練

牽引型胸郭出口症候群には特に左右差が生じないように関節の可動性を改善させることが重要である。脊椎アライメント異常がないかも確認し、一定の柔軟性を確保しておくことが重要である。特に両上肢挙上方向と、結髪結帯動作方向へのストレッチングは必須である。
(両上肢挙上方向ストレッチ:手を前に組んで、背伸びの姿勢)
(結髪結帯動作方向ストレッチ:腰の後ろで両手を組んで胸を張る姿勢)

筋力強化訓練 胸郭出口症候群患者は一般的に前傾姿勢をとる傾向にある為、長期的な姿勢保持効果を期待して、後頚筋、僧帽筋、広背筋に代表される背部筋群の強化が重要である。
全身調整運動 1日20〜30分のウォーキング、ラジオ体操、全身ストレッチ、サイクリング等の、可能な範囲での有酸素運動を伴うものを推奨している。無酸素運動と有酸素運動を交互に行うサーキットトレーニングも効果的である。
装具療法 KSバンドにより、正しい姿勢を習得できるように指導する。
物理療法 温熱療法を主体とする。頚部から両肩にかけてのホットパック、マイクロ波、直線偏光型近赤外線療法による、星状神経節近傍照射も効果的である。
カウンセリング

最近、複数の医療機関を渡り歩く「ドクターショッピング」の結果、症状が軽快せずに精神状態が悪化した状態で受診するケースが増加している。
うつ傾向により難治化する傾向が見られる場合はしかるべき時期にカウンセリングを行う。
多忙な医師よりも身近な良き相談役としての役割を理学療法士が定期的に果たし、患者が安心して症状改善に向けた取り組みができるようにすることも重要である。

 

近年の社会的情勢の変化に伴い、自律神経系障害を主体とした精神・心因的症状を合併した胸郭出口症候群の患者が増加傾向である。

 

今後は精神・心因的側面にも積極的かつ専門的なアプローチを展開していくことが重要である。

 

以上〜。

 

 

とはいうものの、全ての医療機関がこれらの対応がきっちり行われているわけではないので、胸郭出口症候群を患った場合、医療機関を選定する参考になれば幸いです。



スポンサーリンク

スポンサーリンク


関連記事


トップページ 治療改善方法はこちら 皆様の体験談・ご意見 胸郭出口ブログ